ポンポン船
◆ポンポン蒸気船は、蒸気の力を使って動く簡単なおもちゃなので工作でもよく作られる。
◆その作動原理
(ウイキペディアよる)
ボイラー部を加熱した時に発生する水蒸気で内部の水が噴射されてその反動で前進する。内部の水蒸気が負圧になるまで慣性で排出が続くため、排出が止まると水が逆流して内部に入る。水により水蒸気が冷却されるためさらに水が吸入される。吸入された水が加熱されて、また噴射が起きる。これを繰り返して前進する。
下記文献は、「ポンポン蒸気船を作る」 白銀一規 民衆社 より引用

◆しかし、疑問もある。
・ろうそくの小さな火力で噴射ということが起きるのか。
・1秒間に2、3回くらい起こっているようだが、わずかの火力で本当にこんなことが起きるのか。
・なぜゆっくりと定常的に蒸発しないで、噴射と冷却が繰り返す振動が起きるのか。
それを説明する文献もみあたらない。
◆検討
そこでどんな現象が起きているか仮定をしながら試算してみた。
1回で、水が0.012cm3沸騰する。(直径1.25mmの水滴相当)
(試算するとこれくらいの量だと思われる)
これが沸騰すると、1700倍の2cm3になる。
噴出官の内径が4mmとすると、長さ6cmx(2本)に相当する。
また沸騰は1秒間に3回起きるとして、1回当たり0.012cm3が沸騰するのに必要な火力は、9J/sec(W)である。
(540cal/g+1cal/gx60℃)x4.2J/calx0.012gx3回/s)
ろうそくの火力は50Wといわれている。この試算では、ろうそくの18%の火力がポンポン船の水の蒸発に使われることになる。
注)いろんな文献を見ると「沸騰」と言う言葉を使わず「蒸発」と言う言葉を使用しているようです。しかし、100℃で蒸発して噴出するという現象から「沸騰」と言う言葉をここでは使います。
熱は周りの空気や水に、かなり逃げていて効率は悪いように思われる。(下記実験でそれが推定される)
なぜ沸騰が断続して起こるのか、周波数はなんで決まっているのかなどはよくわからん。
◆実験
試しにビールのアルミ板をろうそくで熱してみた。

表面温度計でアルミ板の温度を測ると、測った温度は160℃くらいが最高だった。思ったより低い。水滴をアルミ板に落とすと、一瞬「ジュッ」と言う音が出て、沸騰した。炎と水面の中間部は、60℃くらいまでしか上がらなかった。
戻る