セメント、生石灰などの固化材による改良土のアルカリ性の影響
  固化材で土を改良するとアルカリ性になる。これは水酸化カルシウム(Ca(OH)2)に起因する
  土の表面は時間とともに水酸化カルシウムが空気と中和する。土内の水は土壌を通過すると、水酸化カルシウムが、土壌に吸着する。
  ただし、当初、表面を流れる水が公共水域に流れ込むなどで問題な時は、覆土を施すなどの配慮を行う。


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改良土のアルカリの影響


建設発生土利用技術マニュアル(土木研究センタ)による
セメント系、石灰系の固化材による改良土はPHが高くなる場合があり、初期にはPH値の高い溶出水が発生することもある。しかしこれは水酸化カルシウム(Ca(OH)2)に起因するもので空気中の炭酸ガスと容易に中和し、また改良土周囲の土壌中を30cm程度通過することで土に吸着され周囲に影響を与えることはほとんどない。ただし河川、湖沼、下水道等の公共用水域および地下水に改良土からの溶出水が流入する恐れのある場合には、水質汚濁防止法による排出限度がPH5.8~8.6と定められているのでこの基準に準拠し覆土を施す等の施工上の配慮を行う。

建設泥土再生利用技術暫定マニュアルより
1         改良土を使用するときは(周辺環境を調査し)覆土、敷土などの対策を施す。
 覆土、敷土により溶出のアルカリは土壌に吸着され問題無い。
(砂質土はアルカリ吸着力が低い場合があるので敷土をする。)
 施工中雨などが降ると表面から流出水がながれるので排水を集水し適当な処理をする。
2         改良土盛土上に植栽するときは客土をする。
        目安 地被植物 10cm
           低木   30cm
           高木   60~90cm以上
        高木の植栽は植穴客土になるが、改良土表面を耕す、排水工等により透水性を確保する。
        改良土表面を耕し数ヶ月放置すると、空気と中和し植栽が可能になる可能性がある。
       
        データ
・        普通セメント70kg/m3の改良土の表流水は当初PH11.4を示すが時間とともに低下し40日後にPH10以下になる。
        (表面は空気と中和する)
・改良土を透過する水は長期間にわたってアルカリを持続する。
(改良土の表面は空気と中和するが内部はアルカリを持続する。)
改良土を30cm盛土し2年9ヶ月後の土のPHを調べた。
表面は中和しているが、深さ10cmも入ると改良直後とほとんど変わらないPHを示す。改良土下の土壌は改良土下端10cm以下ではPH上昇はない。
     
建設汚泥改良土の利用に関する基礎的研究(その19)
―改良土浸透水のpH径時変化―フジタ吉川他  第32回地盤工学研究発表会講演集
・        改良土浸透水のpHは1年程度では高い値を示す(その後若干低下の傾向)
・        含水比の高い泥土の改良土の方がpHは高い。
    (70% pH11.0:140% pH11.4)
・        敷土は2年以上経過しても高いアルカリ吸着力がある。
・        固化材添加量によるpHの差は40kg/m3pH10.9:80kg/m3pH11.4程度である。